建設業界では人手不足が続くなか、外国人材の採用を検討する会社が増えています。しかし、採用人数を確保することだけを優先すると、入社後のミスマッチや早期離職、現場での意思疎通、安全面のトラブルにつながることがあります。
外国人材を採用する際は、在留資格や日本語能力だけでなく、仕事への考え方、現場ルールへの理解、本人が希望する働き方などを採用前に確認することが重要です。また、採用後に安心して働き続けられる受入体制も欠かせません。
本記事では、入管業務・人材業界・建設現場での経験をもとに、建設会社が外国人材を採用する前に確認すべき5つのポイントを解説します。採用後のミスマッチや離職を防ぎ、外国人材と企業の双方にとって安心できる採用につなげるための参考にしてください。
① 在留資格を確認する
外国人材を採用する際は、最初に在留資格と就労可能な業務の範囲を確認する必要があります。外国人は、在留資格ごとに日本で行える活動が定められており、在留資格を持っているだけで、すべての仕事に就けるわけではありません。
採用前には、在留カードの表面と裏面を確認し、在留資格、在留期間、就労制限の有無、資格外活動許可の内容などを確認しましょう。本人の説明だけで判断せず、予定している業務が在留資格の範囲内に含まれるかを確認することが重要です。判断が難しい場合は、出入国在留管理庁や行政書士などの専門家に確認することをおすすめします。
また、外国人を雇い入れた場合や離職した場合には、原則として事業主による「外国人雇用状況の届出」が必要です。採用前の確認だけでなく、採用後に必要となる手続きも事前に把握しておきましょう。
② 日本語能力だけで判断しない
外国人材を採用するとき、日本語の流暢さだけで採否を判断するのは適切ではありません。日常会話ができても、建設現場で使われる専門用語や作業指示、危険を知らせる言葉を正確に理解できるとは限らないためです。厚生労働省も、日本語の理解不足やコミュニケーション不足によって、職場の危険が十分に伝わらないことが外国人労働者の事故要因の一つになると説明しています。
面接では、会話の上手さだけでなく、「分からないときに質問できるか」「指示を自分の言葉で確認できるか」「ミスや異常をすぐに報告できるか」といった点も確認しましょう。実際の作業場面を想定した質問を行うことで、現場で必要となる理解力やコミュニケーションの姿勢を判断しやすくなります。
また、受入企業側も、外国人材だけに日本語習得を任せるのではなく、分かりやすい言葉への言い換えや、写真・イラスト・多言語教材を活用することが大切です。厚生労働省は、建設業で働く外国人向けに複数言語の安全衛生教材を公開しています。
③ 現場ルールや安全意識を確認する
建設現場では、作業手順や安全ルールを守ることが、本人だけでなく周囲の作業員を守ることにもつながります。そのため、採用面接では経験年数や技術だけでなく、安全に対する考え方も確認することが重要です。
例えば、「危険だと感じたときはどうしますか」「指示の内容が分からない場合はどうしますか」「過去に作業中のミスやヒヤリとした経験はありますか」と質問すると、安全意識や報告・相談に対する姿勢を確認しやすくなります。正しい答えを覚えているかではなく、自分の言葉で説明できるかを見ることがポイントです。
また、会社ごとに現場のルールや使用する道具、作業手順は異なります。採用後に一度説明するだけではなく、実際の動作を見せる、本人に復唱してもらう、理解できたかを定期的に確認するなど、継続的な安全教育を行うことが大切です。
④ 面接で本音を引き出す質問をする
外国人材の面接では、経歴や日本語能力を確認するだけでなく、本人がどのような働き方を望んでいるのかを把握することが重要です。採用条件だけを説明して終わると、入社後に「想像していた仕事と違った」「勤務時間や休日の認識が違った」といったミスマッチが起こる可能性があります。
面接では、「日本でどのくらい働きたいですか」「どのような仕事を身につけたいですか」「仕事で不安に感じていることはありますか」「残業や休日出勤についてどのように考えていますか」など、本人の希望や不安を具体的に確認しましょう。また、給与や仕事内容だけでなく、住居、通勤方法、家族への送金、将来の目標なども、働き続けるうえで大きく関係します。
質問に対してすぐに答えられない場合でも、急いで回答を求める必要はありません。通訳者がいる場合でも本人の表情や反応を確認し、理解できているかを確かめながら進めることが大切です。企業側も仕事内容や条件を曖昧にせず、現場の厳しさを含めて正確に伝えることで、採用後の認識のずれを減らせます。
⑤ 採用後の定着支援まで考える
外国人材の採用は、入社がゴールではありません。採用後に仕事や生活上の不安を相談できない状態が続くと、職場への不満や孤立につながり、早期離職の原因になることがあります。そのため、採用前から入社後の受入体制まで考えておくことが重要です。
入社直後は、仕事内容や安全ルールだけでなく、給与の支払日、休日、残業、遅刻・欠勤時の連絡方法など、会社で働くうえで必要なルールを分かりやすく説明しましょう。一度にすべてを伝えるのではなく、定期的に面談を行い、理解できているか、不安や困りごとはないかを確認することが大切です。
また、外国人材本人だけでなく、一緒に働く日本人社員への説明も欠かせません。文化や考え方の違いを本人の性格だけの問題として捉えず、お互いに質問や相談ができる環境を整えることで、現場での誤解を減らせます。採用後も継続して関わる仕組みを作ることが、外国人材の定着と会社全体の働きやすさにつながります。
まとめ
建設会社が外国人材を採用する際は、在留資格や日本語能力を確認するだけでは十分ではありません。現場で必要な安全意識、仕事への考え方、本人が希望する働き方まで確認し、採用後の受入体制を整えることが重要です。
採用前の確認が不十分なまま入社を決めると、仕事内容や労働条件に対する認識の違いが生まれ、早期離職や現場でのトラブルにつながる可能性があります。企業側と外国人材の双方が納得できるよう、面接時に情報を正確に伝え、本音や不安を確認しましょう。
Rensiaでは、入管業務・人材業界・建設現場での経験を活かし、建設会社における外国人材の採用前確認や面接、採用後の定着に関する支援を行っています。外国人雇用について不安やお悩みがある場合は、お問い合わせページからご相談ください。

